2013年6月6日木曜日

野ざらし紀行 富士川


           猿を聞人捨子に 秋の風いかに

芭蕉は富士川のほとりで、3つばかりの捨子が哀れ気に泣いて
いるのに出くわす。親はこの富士川の早瀬のようなうき世の波を
凌ぐに堪えず、露のようなわずかな命でもとこの子を捨て置いた
のだろう。

 「小萩がもとの秋の風、今宵や散るらん、明日や萎れんと、袂
より食物投げて通るに、」
 

「猿を聞く人」とは、中国の故事中の子を失った母猿の断腸の叫
けびを漢詩文で謳った詩人達を指すと云う。秋風の吹く川原で泣
く捨子の哀れさに寂寥を覚えるばかりだ。この捨子は創作かもし
れない。芭蕉の心象風景か?


 「いかにぞや、汝父に悪まれたるか、母に疎まれたるか。父は
汝を悪むにあらじ、母は汝を疎むにあらじ。唯これ天にして、汝
が性の拙きを泣け!」


閑話休題

富士川といえば、平家物語の富士川の合戦で有名である。
「富士川大合戦図」






















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