2012年6月22日金曜日

国見


[題詞]高市岡本宮御宇天皇代 [息長足日廣額天皇] / 天皇登香具山望國之時御製歌
高市の崗本の宮に天の下しろしめしし天皇の代
 天皇の香具山に登りましてくにみしたまへる時に
みよみませるおほみうた(御製歌)

大和には  むらやま(群山) あれど とりよろふ 
あめ(天)の香具山 登り立ち 国見をすれば 国原は 
けぶり立ち立つ  海原は かまめ (鴎)立ち立つ うまし国ぞ

あきつしま(蜻蛉島) 大和の国は




メモ
万葉仮名覚書  山常 (やまと)  煙立龍   加萬目立多都
 怜 (うまし)  蜻嶋(あきづしま) 八間跡能國


鑑賞


奈良の香具山の国見となっているが怪しい。奈良の香具山
から鴎は見えないでしょう。それに、鴎は冬に現れますから、
煙を霞と訳すのも無理がある。それで古田武彦さんはこの歌
の香具山は奈良ではなくて、別府の鶴見山ではないかと仮説
をたてている。そうすると、このけむりは冬の温泉から立ち上
る水蒸気と言う意味にとれる。

奈良時代は、空想や創造溢れる詩情ゆたかな時代だったの
でしょう。天の香具山が天から降ってきた山であると言う伝承
があったりするくらいだから。

おそらく伝承として語り継がれた歌が時間や空間を超えて、こ
の時代の歌として、納まったように思われる。


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